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小学生だから通用する手だ。
遊びといっても、なにかしてあげたいという気持ちがなければ、何でもします、なんて券を渡したりはしないだろう。なにかに役に立てるなら…そういうことなのだろうと思う。
戦闘機である草灯は主人である立夏の言うことをきくのは当たり前のこと。
主人である立夏が言うことをきいてくれるなんて、ありえないことだ。
だから草灯にとって、このチケットは本当に特別で大切なものだ。
使う気はないし記念であり宝物だと思える。
立夏がなにかしてくれようとする気持ちが嬉しいから。

「うわ…惚気られた」
キオは肩を落として半眼で親友を見る。
(嬉しそうな顔しちゃって)
やれやれ、とキオは小さく息をつく。

その気になれば美人から高価なプレゼントも貰えそうなものを。
だけど、高価なものが人を豊かにするかと言えば、必ずしもそうではない。
髪がきれいな奥さんがクリスマスにプレゼント買うお金がなく、自分の髪を切ってお金換え、夫に時計の鎖を買ってあげた。しかし夫も同じく大切にしてた時計売り、妻に髪飾り買ってあげたという話をキオは思い出す。
お互いのプレゼントは無駄になってしまったが、自分の大切にしていたものを売り、大事な人へプレゼントを贈るという気持ちが大切だという話だ。
お金がなくても相手を想う心、気持ちなのだということ。
相手が小学生だからこそ、こういう素朴なものが大切なのだと気付かされる。

「キオは冬休みどうするの」
「一応、実家に帰る。帰って来いって言われてるしさ。でもバイトあるし大晦日までね。元旦にはこっち帰って来る予定」
学生は地方から来ている者も少なくなく、キオもその一人だ。
実家の親元に帰省する者も多い。
帰るつもりはなくても学生の大半は学費を両親に出して貰っている為、親に盆と正月くらいは帰って来いと言われると帰らざるを得ない。
キオも年末の3日間だけ帰省するのだと言う。
しかし草灯は家族もいなければ帰る実家もなく、年末年始も一人だ。
「なに、予定なんか聞いちゃって?寂しいの?キオちゃんち来る?」
大学の門を出て最寄り駅まで一緒に歩きながら二人で話す。
「いや、いいよ。遠慮しとく」
他の時ならいざ知らず、盆正月は他人が他所の家庭に行くのは気が引けるものだ。
「そお?ウチ、親戚来るわけじゃないからいーのに。素朴な田舎の正月ってのもいいモンよ?」
親戚が集まるなら遠慮するのもわかるが、キオの実家は親戚の家からも遠い。
草灯は家族がいないと聞いたことがあるキオは、家庭の正月というものを体験させてやろうかと言うが、草灯はあっさり断る。
「立夏誘って遊ぶからいいよ」
「あ、そう。
立夏りつかってこの、ロリコンめ」
草灯を罵るがキオも草灯にとって立夏といることが一番いいんだろうなと最近は思うようになっている。
立夏と出会ってから草灯は少しずつ、変わってきたようにキオは思う。
怪我も減ったし、少しずつ人間らしくなってきた気がする。
いい傾向だと思う。

年内、会うのは多分に今日が最後だろうということで、「よいお年を」と言って別れた。

〜END〜

スーパーチケット!!
わたしも立夏に本気か?と思った…危険!
てゆーか、正気?と聞きたくなりました(笑)
草灯にとっては、ものすごく嬉しいものだと思いますねー
「額に入れて飾りたい」って、わかるな〜
お兄ちゃんはすぐに「使い道」を考えてましたが、草灯は「飾っておきたい」と保存を考えた
この違いって結構大きくて、重要な気がしますね
06.1/2に開いたチャットで、チケットの話をしてて書きたくなって書いちゃいました(笑)
使い道バージョンもそのうちやろうと思います♪
なお、キオたんの田舎ウンヌンという設定に関しては、架空設定です
アニメで「実家に帰る」と言ってたので、地方出身者なのかな?という勝手予想です
草灯が家族いないのは本当ですけどネ(3巻限定loveless「85問」参照)
スーパーチケットは7巻掲載の番外編コラブレスのお話です〜
2006.1.3 UP

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