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ケーキを買って草灯の家に行き、ささやかながらの誕生日祝いをする。
「はい、誕生日プレゼント」
ケーキを食べ終えた立夏にそう言って草灯は大きめの袋を渡す。
袋は結構な重さがある。
「ありがとう。開けていい?」
「どうぞ」と答える草灯に立夏は目をきらきらさせながらミミをピーンとたて袋を開けて見てみると、草灯からのプレゼントは写真用プリント用紙の束とアルバムだった。
「立夏が沢山、思い出作りしてプリント出来るように。一緒に思い出作りしようね」
草灯の言葉に立夏はしっぽをパタパタと振って「ありがとう」と礼を言う。
「それから」と言って草灯は立夏の左手を取る。
そして、薬指にシンプルなシルバーの指輪をはめた。
「………」
立夏は驚きと戸惑いから自分の指にはめられた指輪と、草灯の顔を何度か交互に見る。
その指輪は立夏の指には大きくて、隙間がある。
腕を下に向けたらストンと抜け落ちそうだ。
「この指輪が立夏の指にぴったりになったら、立夏をちょうだい」
「え……」
手を取って話す草灯に立夏は瞬きをする。
「それまでは、失くさないように」
そう言って草灯は銀色の鎖を取り出し、立夏の指から指輪を抜き取ると、鎖に通して立夏の首に掛ける。
「本当は今すぐにでも、立夏を抱きたいけど。立夏がもう少し大きくなるまで、我慢する。
だからこの指輪が立夏の指にぴったりになったら、その時に…」
「草灯……」
思わず立夏は立ち上がって、草灯に抱きついた。
「ありがとう…草灯」

成長するまで待つと言う草灯の気持ちが嬉しかった。
草灯はオトナだから、自分とは違う。
草灯の気持ちは本物で、抱きたいという言葉もだからだと思っても、まだ立夏は小学生で抵抗を感じてしまう。
ちゃんと考えてくれての言葉、気持ちなのだということが嬉しい。

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