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「おまえ、手ぇ熱い。離せ」
「いや」
普段から体温が高い草灯の手は炎天下では熱くて、立夏は手を解こうとするが草灯は離してくれない。
「夏休みか。じゃあ、泊まりに来てよ」
「だめ」
仕方なく手を繋いだまま、話しながら歩く。
「なんで?休みなんだしいいでしょ」
「だめったらダメ。
ラジオ体操あるから。皆勤狙ってんだ」
マジメな顔で言う立夏に草灯は言葉を失った。
それから肩を揺らして笑う。
「なに笑ってんだよ?(ヘンなこと言ったか?)」
「いや…健康的だなぁと思って…」

ラジオ体操に行くから泊まれないなんて。
これだから小学生は…。

「サボっちゃえば?」
「はァ!?カードにハンコ押して貰うから、誤魔化せないんだって」
バカなことを言い出す草灯に、立夏はしっぽを膨らませる。
「そんなのパソコンに取り込んでコピーして印刷しちゃえばバレないよ」
「そういうズルはダメなの!」
「本当、立夏って真面目だよね」
しみじみと言う草灯を立夏は半眼で睨む。
大人のクセに草灯はサボれとか、ズルい手段を使えなどという。
何を考えているのか、さっぱりわからない。
「せっかく夏なんだから。立夏と夏の思い出つくりたいな」
思い出、という単語に立夏はミミをぴくんと動かし、ピーンと立ててしっぽをパタパタと振る。
つい今の今まで呆れ顔だったのに、だ。
くるくるとよく変わる表情や様子は見ていて飽きなくて、草灯はふっと笑う。
「いいよ、思い出作りしよう」
「だから泊まりに来てよ」
にっこりと笑う草灯に立夏はふいっとそっぽを向いてしまう。
「…ヘンなことしないなら……」
「ヘンなことなんかしてないでしょ」
不思議そうな顔をする草灯に立夏は何か言いたげにむーっと眉を寄せて見つめる。
「思い出作りって何すんの?」
「んー。そうだなぁ。やっぱり…」
普段なら「何でも」「立夏の好きなこと」と答える草灯が考える様子に立夏はわくわくとする。
「やっぱり、ここは『ひと夏の経験』かな?」
「なにそれ」
わけのわからないことを言う草灯に立夏は肩を落とした。
「それは、お楽しみ」
にっこりときれいな笑みを見せる草灯に、なんとなくイヤな予感がするのは気のせいだろうか?

何はともあれ。
夏本番。
夏休みは始まったばかりだ。
楽しい夏の思い出を沢山作れたら…。

〜END〜

暑中お見舞い代わりの拍手お礼でした
タイトルは某アーティストの曲名からです(わかる人あんまりいないと思う)
ハチ公な草灯はご主人様を襲う気だ!(笑)
飼い犬に襲われるご主人たま、立夏たん(ぜんぜん忠犬じゃないな)
夏休みだって気づかないでお迎えとかマヌケですな☆
夏休み入って2〜3日経った頃、と考えてお読み下さい(さすがに今この日付けはアリエナス)
ヘンなこと言ってますが、草灯は暑いの得意だそうですね
すでに残暑という時期ですが、まだまだ猛暑が続くようですので、みなさま熱中症や熱射病、クーラーでの冷えにお気をつけて楽しい思い出作りをして下さいませ♪
お礼:2006.8.1
再録:2006.8.19

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