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「……キオ?」
ぱちぱちと大きな瞳を瞬きして、不思議そうな顔をする立夏。
「なに?」
無表情だが少々ムッとした声の草灯。
「アレ…?なに、してんの…」
キオはぼーっと立ち質問する。

ベッドに座る立夏の膝を枕に草灯は寝そべり、立夏の手には…。

「なにって、耳そうじ」
立夏は手にした耳かきを見せる。
「…耳、そうじ……?」
キオは頭の中が真っ白になった。
状況を正しく把握すると同時に、自分が完全に誤解してたとわかって、どうごまかすべきか困った。
「なぁんだ。耳そうじか。やだ、もう」
あはは、と笑ってごまかすが草灯の視線が痛くて、目を合わせられない。
邪魔するなという目で見てる気がする。
「キオやって。オレやったことないから…」
立夏は草灯を膝枕したまま、耳かきを差し出す。
ちらりと草灯を見るとその顔には特に感情も表れていないが…。
かえって何も言わないのが恐ろしい。
「………それは立夏がやった方がいいんじゃないかなぁ〜?
じゃあキオさん、帰るね」
お邪魔しましたぁーと言ってキオはにこやかに手を振って帰って行った。
立夏はぼーっとドアを見つめて、一体なんだったんだろう?と思う。
何をしに来たのかもわからず、訳がわからない。

「キオ、何しに来たんだろ?」
「さぁ?知らない」
知らないと答えながら草灯はキオが誤解したのだとわかっていた。
その誤解が何かも草灯にはわかる。
だけど、せっかくの立夏とのラブラブタイムを優先したくて、知らないフリをする。
頭を乗せている立夏のショートパンツから伸びる足に、ちゅっとキスする。
「ばっ…なにしてんだよ」
かぁーっと顔を赤くしてミミを寝かせる立夏に草灯はクスッと笑い、立夏の足に頭を乗せたまま手を伸ばしてその頬に触れる。
「照れることないよ。耳の中まで見せた仲なんだから」

立夏は不器用で自分では耳そうじが下手で、耳の中を傷つけたりうまくそうじ出来ない。
だから草灯が耳そうじをしてやっていたのだ。
汚れた耳を見せるというのも、ちょっと恥ずかしくて親しくなければ、耳そうじなんて頼めない。

口をへの字に結んでミミを寝かせている立夏の手を取って、草灯はその指先に口づける。
「今度から立夏の耳そうじはオレがやってあげる」
「うん…。なんか、ちょっとこういうのって、さ。ラブラブっぽい…?」
照れながら言う立夏に草灯も笑みを浮かべる。
「そうだね。だから他の人にさせないでね」
「他にやる人なんかいないよ」
ベッドを叩くようにぱったんぱったんとしっぽを上げ下ろしする立夏に、草灯はにこっと笑う。
「そう。よかった」
「…草灯もオレ以外の人にするなよ」
「はい。立夏も出来るようになってね」

てくてくと歩きながら、キオはハー…と深い溜め息をついた。
思い切り勘違いをしてしまって恥ずかしいやら、情けないやら。
「あっ」
そういえば、資料を借りに行ったのだった。
でも、勘違いをして踏み込んでしまった後では、用事を忘れてましたなんて言うのも、余計にカッコ悪い。
戻りたくても戻れず、歩きながらキオはレポートの資料をどうするか悩むのだった。

〜END〜

怪しい会話を書きたかった(笑)
怪しいというだけでまったく裏モノではないんですが、これ表に置いていいのか裏にすべきか、ちょっと迷った
耳そうじってラブラブな感じしませんか?
立夏はきっと以前は清明様にやってもらっていたと思います
おそまつでした〜☆
2006.10.11 UP

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