NEW YEAR
12月31日。
清明の隣にはすやすやと眠る仔猫がいる。

オレ、今日はカウントダウンまで起きてるんだ」
しっぽを揺らす弟に清明はくすくす笑う。
「なんで笑ってんの?」
「そんなこと言って、立夏が起きていられるのかなと思って。だって立夏は夜更かし苦手だろう?」
清明がくすくす笑いながら言うと、立夏はむっとした顔をするがすぐにミミをぴんと立てて腕を絡ませてくる。
「もしもオレが寝たら0時前に起こして」
「起きるかなぁ?」
「0時におめでとう言いたいんだもん。ね、だから」
じゃれついて来る弟に清明はふっと口元に笑みを乗せ、弟の頭を撫でる。
「わかったよ」
「でもオレ寝ないよ?」
「はいはい」

──そんな会話をしたのは夕方のことだった。

晩ご飯を食べて風呂に入った後、テレビを見ていてもつまらないので、2人でゲームをしているうちに立夏は案の定うとうとし始め、ついには床で眠ってしまった。
ベッドに立夏を寝かせると自分の寝心地のいい場所に無意識に移動して、そのまま眠ってしまう。
0時まで起きていようとはりきっていたのが仇となって、逆に疲れてしまったらしい。

もうすぐ、午前0時。
立夏は無防備な寝顔でよく眠っていて、この調子では起こしても起きないのではないかと清明は思う。
手を伸ばしてそっとやわらかい頬を指の背で撫でる。
ピクンとミミを動かす立夏の顎のラインを撫でると、くすぐったがって「ん……」と微かに声をもらす。
清明はくすくす笑いながら、眠っている仔猫にいたずらする。
「んんー…」
「立夏、0時になるよ」
眠そうに目を擦る立夏に言うと立夏はのそのそと起き上がる。だけど座ったまま両手をだらりと下げ、座ったまま寝ている立夏はぐらぐらと体を揺らしている。
大きくその細い体が傾くのを清明は抱きとめた。
「立夏、ほら、しっかり」
「ウン…起きてる…」
起きてると答えるものの立夏は目を開けていられないらしく、閉じてしまう目蓋を開けようと努力している。
そうしているうちに0時のカウントダウンが始まった。
「立夏、もうすぐ0時だよ」
抱きかかえた仔猫の肩を揺すると、立夏は眠くて眠くて自然と閉じてしまう目蓋を必死に開けよう目をしょぼしょぼとしている。

カウントダウンが残り5秒を切った。
「…3.2……」
カチッ、と時計の長身と短針、秒針が12の数字でぴったりと重なった瞬間、清明は寝ぼけている立夏の唇にキスする。
「あけましておめでとう、立夏」
「ありがとう…」
「おめでとう」という単語に反射的に答える立夏は、やっぱり寝ぼけていてよくわかっていないようだ。
清明は笑いながら抱きしめる。
「おやすみ、立夏」
「ウン…おやつみー…」
こてん、と胸にもたれかかる立夏はすぐにまた眠ってしまった。
くうくうと眠る仔猫をしばらくそのまま頭を撫で、黒髪に口付ける。
「おやすみ。立夏。
今年もよろしくね」

〜END〜

お正月を過ぎて書いた新年話だったり…(アイタタ)
立夏は「起きてる!」なんてはりきっても寝ちゃいそうですよね
きっと起きても覚えてないと思います(笑)
2007年もよろしくお願いします♪
拍手お礼:2007.1.3
再録:2007.1.16

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