コンビニ
「草ちゃん、なんか変わったよね」
そう言ったのは親友でもあり唯一の友人であるキオだった。

帰宅が人通りも少ない夜になること自体は、以前からよくあることだった。
だけど、キオの言うとおり自分は少し変わったのかも知れないと思うところがあると、草灯は最近気づいた。


家に帰る前にタバコを買い足しておくためにコンビニに立ち寄り、草灯はふと店のレジ横の弁当やデザートが置いてある棚を覗いて見る。
コンビニは新商品の入れ替えも多く、よくゼミの女の子たちも新しいお菓子やデザートの話をしている。
以前はそんな話は街の雑音と同じで、耳に入ってはいてもたいして重要な話でもなく記憶には残らなかった。
(こういうの、好きかな)
苺を使ったデザートを見て思い浮かべるのは、ただ1人のこと。
でもどうせなら、コンビニのデザートよりはちゃんとした店に連れて行って、美味しいものを食べさせてやりたい。


こんな風に何かをしようとする時。何かをしている時。
誰かを気にするということ。
それは以前とは違う変化だ。

どうしても主のことが気にかかるのは、戦闘機ゆえの性分なのだろうと思う。
離れていても、何日も会わなくても。

立夏と出会ってからは時計を気にすることが多くなった。
今頃何をしているのか、と立夏の様子を思い浮かべていつも気にかかる。
でもそれは、清明といた頃にいつも気にしていた気持ちとはまったく違うものだ。

キオはこうも言っていた。
「もしかしてあのガキのせいだったりして?」
同じ学校にいる友人だから、1日の中で行動を供にしている時間が長いのはキオだ。
自分自身が自覚するよりも変化に早く気づいて指摘したのは、やはり親友だからだろうか?


コンビニの店内にかけられている時計を目にすると、午後9時を回ったところ。
この時間なら…。
好き嫌いが多い仔猫が好きそうなデザートを選び、草灯はレジで会計を済ませる。
美味しいと言って食べてくれるといいけれど。
そう思いながら草灯は青柳家へと向かった。

〜END〜

草灯って立夏と会って変わったことって、色々とあると思う
清明のことは気にしてても寂しさしかなかったと思うけど、立夏に対しては期待が大きいんじゃないかな?
日常の些細な変化も、草灯には立夏と出会えたことが幸せになってると思います
拍手:07.4.10
再録:07.5.16

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