イタズラ
家の中がいい匂いがしていて、仔猫2人はそわそわしていた。
お互い、同じ家にいてもあまり何をしているのかは、干渉しあうことはない。
ただ、食事や片付けのことなんかは家主である草灯は、食事前にお菓子を食べるなだとか好き嫌いをするなとか、部屋を散らかすなとか言うことはある。
基本的には何をしていようと草灯は口出しはしてこないし、奈津生も瑶二も草灯がやっていることには無関心だ。
草灯は今日は早くに帰宅して、そのことは特に何とも思わなかった。
しかし、食べ物のことになるとやはり嗅覚が関心を誘う。
カボチャの中をくり貫いてカボチャのプリンを入れて作ったもので、皮ごと全部が食べられるカボチャのプリンの甘い香りが、仔猫たちの食欲をそそる。

ひそひそと瑶二と奈津生は話す。
「そういえば、今日ってハロウィンだ」
「あー。だからカボチャなのか」
なるほど、とポンと手を打つ。
「こんな時間に帰って来て作るなんて、きっと立夏が来るんだろ」
「じゃあオレら食えないのか?」
「ってことは、イタズラだな」
「だな」
クスクスと2人は笑い合う。

出来上がったカボチャのプリンを冷まして、切り分けようとする草灯に瑶二と奈津生が近づく。
「なー、今日はハロウィンだな」
「知ってるよ。だからコレ作ったんでしょ。ちゃんとおまえたちの分もあるから」
草灯はそう言って、冷ましたプリンがきちんと固まったか確認をして切り分ける。
「なんだ。お菓子かイタズラどっちがいいか聞こうと思ったのに」
先に答えを言われてしまい、瑶二はつまらないといった様子で頭の後ろで手を組む。
「おまえらのやるイタズラって容赦がなさそうだし」
素直にお菓子をあげた方がいいといった草灯に、仔猫たちはつまらなさそうな顔をする。
「このあたりでもお菓子配ってるみたいだから、行ってみたら?こっちはちゃんととっておくから」
「マジで?」
「行くか!」
そうと聞いて奈津生と瑶二は早速とばかりに、ぬいぐるみ片手に飛び出して行った。

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