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「誕生日おめでとう、立夏」
祝いの言葉を告げる草灯に立夏が「ありがとう」を言う前に、唇が重ねられる。
「ん、ん…」
啄ばむように何度もキスをして、薄く開いた唇が熱い舌を受け入れる。
熱くなめらかな舌に立夏はあっさりと思考を奪われ、自然と草灯が着ているコートをぎゅっと掴む。
しがみついていないと体から力が抜けて、まるで自分の体が溶けてしまうような錯覚を覚える。
「ぅ、ん……ふ…っ」
草灯は立夏の細い腰を抱き寄せ、背中や腰を何度も手の平を往復させながら、一層深く舌を絡める。
明かりを点けない深夜の暗い部屋の中で、濡れたキスの音と互いの甘い吐息、ベッドの軋みや衣擦れの音しかしない。
「は、ぁ……」
甘い溜め息を洩らす立夏のキスで濡れた唇に、草灯はもう一度ちゅっと短くキスする。
くたっと胸にもたれてくる立夏のミミや髪に軽く唇をつける。
「立夏、12才おめでとう」
「ありがと」
立夏は猫のように草灯の胸に頬を擦り寄せる。
好きな人に1番におめでとうを言って貰える。
それが立夏には嬉しかった。

「起こしてゴメンね。眠いでしょ」
言いながら草灯はベッドの端に座り直し、立夏が眠れるように場所を空ける。
立夏が横になると布団を肩まで掛けてやるが、立夏は手を出す。
「ちゃんと掛けないと肩冷えるよ」
「もう帰る?」
草灯の手に自分の手を重ねて聞いてくる立夏に、草灯はその手を握る。
「立夏が眠るまで居るよ」
「さっき、夢見てた?」
「夢?なんで?」
「オレを呼んでた」
草灯が言うと立夏は視線を繋いでいる手に向ける。
「覚えてない…」
夢を見ていたかどうかすらわからないし、そうだとしても内容は覚えていない。
寝言で草灯を呼んでたと聞いて少し恥ずかしい。
「どんな夢だったか知りたかったんだけどな」
残念、と言って草灯は笑う。
「明日は…もう今日だけど、何か予定ある?」
「別にないけど。会える?」
このところ、忙しいのか草灯は2日来なかったり、迎えにだけ来たり、迎えには来ないが夜に少しだけ来たり、あまり一緒にいる時間がなかった。
予定を聞いてくるということは、会えるのかと立夏は期待する。
「もちろん。立夏の誕生日だから。デートしよう」
「本当?どこ行くの?」
ミミをぴんと立てる立夏に草灯は笑みを浮かべる。
「どこがいいかな。立夏の思い出つくりが出来るところがいいね。
放課後迎えに行く。それまでに考えておくよ」
「うん。約束な」
そう言って立夏は笑みを見せた。
程なくして立夏はうとうとし始め、すぐに静かに寝息をたて始める。
さらさらとした手触りの柔らかい黒髪を撫で、草灯は握っていた立夏の手を布団の中に入れてやる。
「おやすみ、立夏」
ちゅっと軽く額にキスして、草灯は立夏の部屋を出た。
12月の深夜の冷たい空気に、帰路をコートのポケットに両手を入れて白い息を吐きながら、草灯は考える。

今日は立夏の誕生日の思い出つくり。
どこへ連れて行こうか?

〜END〜

立夏お誕生日第1弾です〜
え?プレゼント?
それは後で、ちゃんとあげるのです
去年と同様に日付け変更と同時のおめでとうを言いにわざわざ寝た子を叩き起こしました(ひどい)
コレ書いている時点(12/13)で、実は本編のお誕生日デート、全然考えてません
やば…プレゼントとかも全然考えてないし…
12/21に続きがあったら、褒めて!(笑)
っていうか、立夏おめでとうなのに、草灯がいい思いしてないか?
2005.12.13 UP
サイトアップ/2005.12.21

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