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立夏の誕生日までもうあまり日がない。
もう少し早く知っていれば、もっと余裕を持って準備が出来たのだが、それは言っても仕方がないことだ。

「ところでキオ、21日はヒマ?」
「21日?んー…たぶん。その日はバイトも休みだし。なに?なんかあんの?」
「立夏の誕生日のお祝いをしようと思って。用事がないならキオも来てよ」
次の授業がある教室まで移動しながら2人は話す。
「あれ?2人で祝うんじゃないの?」
草灯の誘いにキオはぱちぱちと瞬きをして聞く。
「みんなに祝って貰った方が嬉しいものでしょ。立夏が喜ぶことが大事だからね」
「まぁそれはそうかも」

立夏はまだ小学生だから、多くの人に祝って貰う方がきっと嬉しいだろうとキオも思う。
だけど、草灯の気持ちとしてはどうだろうか?
草灯が立夏を特別に思っているということは、草灯ははっきりと名言こそしないものの、見ていればわかる。
本当は2人で祝いたいのではないのか?と思う。

「20日までにプレゼントの用意と準備をしておかないと。21日は色々と大変だから」
当日は朝から料理を作らないといけないと話す草灯も、立夏の誕生日を楽しみにしているようで、他人の誕生日のことでこんな風に楽しそうに話すなんて、キオも初めて見る様子だ。

立夏と知り合ってそんなに多くの時間は過ぎてはいない。
それでも、立夏と出会ってから草灯は少しずつ変わってきているとキオは思う。
どこがどう、と具体的には言えないけれど。
少なくとも他人の誕生日を自分の楽しみだと思えるくらいには、他人に興味を持つようになったところは、変化だとキオには思える。

「立夏も楽しみにしてんだろ?」
立夏にはまだ秘密にしてあるんだ。当日、呼び出そうと思って」
草灯は楽しそうに笑いながら言う。
「えー?当日って、用事あったらどうすんのさ」
「それは大丈夫。立夏の友達にも協力してもらってるからね」
立夏が予定を入れないように、すでに手回し済みだと答える草灯の用意周到さに、キオは舌を巻く。
さすがとしか言いようがない。
すごい気合いの入れようだ。
つまり秘密の計画であり、草灯にとってナイショの楽しみらしい。
キオはつまんでいるチュッパの棒をくるくると回しながら言う。
「そんじゃあキオさんも何かプレゼント用意しなくちゃね。何がいいかな」

親友の変化はいい傾向だと思う。
だったら、手を貸さないわけにはいかない。
立夏が喜ぶこと。
それが草灯の喜ぶことなのだろうから。

〜END〜

立夏お誕生日…なのに草灯の話かよ!
しかもキオちゃん主役か?これ…あれれ?
いちお、5巻コラブレスの立夏お誕生日の話に続く、っていう感じにしたかったんですけどね
立夏が本当に欲しいものが何かって、やっぱりみんなに祝ってもらうこと…
祝ってくれる人たちの『気持ち』なんじゃないのかな?とアレを読んで思ったのですが、どうでしょうか?
2006.12.22 UP

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